香り高きバルサミコの秘密
「バルサミコ」をご存じですか?
レッジョ・エミリア地区のブドウ畑
「バルサミコ」は、イタリアのモデナ地区とレッジョ・エミリア地区で、11世紀からつくられている、ブドウからなる果実酢のこと。
イタリア語の”Balsamico”(バルサミコ)は「香り高い」「誇り高い」「芳香なもの」という意味で、英語の"Aromatic"(香り豊かな、芳しい)に該当します。
正式には「アチェート・バルサミコ」(アチェート=酢、バルサミコ=芳しい)と言います。
自然発酵で時間をかけてつくられるバルサミコ
バルサミコの入った樽
バルサミコは、ブドウの果実を圧搾して煮詰めた果汁(モスト・コット:モスト=ブドウ果汁、コット=煮た)を木樽に詰め、長期にわたり自然発酵・熟成させてつくられます。
熟成するまでの間、最初は比較的大きな樽にモスト・コットを入れ、徐々に小さな、そして異なる材質の樽(樫、栗、桑、ネズなど)に移し替えます。
これは、熟成の過程で水分が蒸発して量が減るため、また様々な種類の木樽に移し替えることで、より芳醇さを出すためです。
「香り豊かな」と言われるゆえんですね。
「ホワイトバルサミコビネガー」をつくるテラ・デル・ツォーノ社は今も家族経営
樽に使う木材の種類や移し替える回数で風味が変化するため、生産者はそれぞれ工夫を凝らしながら特徴を出します。
元々は、女性が種酢(母なる樽)をもっていて、代々娘に引き継いでいく「門外不出の家庭のレシピ」だったそうです。
伝統的なバルサミコから多彩なコンディメント・バルサミコまで
アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ
いわゆる「本物」と言われるバルサミコは、2種類(DOP/IGP)しかありません。
材料であるブドウの栽培・醸造・熟成・瓶詰めまでの全ての製造工程が、定められた土地のなかで完結するDOP認証のバルサミコ。
「伝統的なバルサミコ酢」を意味する「アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ」と称され、モデナ地区のものと、レッジョ・エミリア地区のものに分けられます。
「公爵の酢」「調味料のキャビア」などと呼ばれ、非常に高価で、現在市場に流通しているバルサミコの0.01%以下となります。
IGP認証を得た、15年熟成バルサミコ
DOP認証よりも、もう少し製造の自由度が高く、けれどもある一定の品質と独特の風味を保つ目的で開始されたのがIGP認証。
モスト・コットのみならず、最低10年以上熟成したワインビネガーを10%以上使用します。
メゾンブレモンド1830の商品の中では、マルピーギ社がつくる「15年熟成 IGP モデナ産バルサミコビネガー250ml」がそれにあたります。
お料理の用途に合わせて
DOP/IGP以外にも、バルサミコをベースにした商品が多種多彩に存在します。
「クレーマ(クリーム)」や「グラッサ(グレーズやソース)」、「コンディメント(調味料)」などがそれです。
カラメルやシロップなどを足して粘度や濃度を高めたものがクレーマやグラッサ、フレーバーやスパイスを加えたものや、IGP・DOPの規定からは外れたバルサミコなどがコンディメントにあたります。
フルーティーでお料理本来の味を引き立てるホワイトバルサミコ
ちなみに「ホワイト・バルサミコ」や「バルサミコ・ビアンコ」と呼ばれる無色透明なバルサミコも、濃縮したブドウの絞り汁に白ワインビネガーを合わせたものでコンディメントの一種となります。
様々な取り組みができるため、生産者は創意工夫しながら、独特の風味と味を追求します。
お気に入りの一本を見つけて
多彩なフレーバーがうれしいバルサミコ&ビネガー
酸味のバランスが良く、コクのあるまろやかで味わい深いバルサミコは毎日の料理にも取り入れやすいので、ぜひお気に入りの1本を見つけてください。